
フィリピン人の在留資格取消とは?
日本では、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、外国人の在留資格は一定の条件を満たさない場合に「取消」(在留資格取消)となることがあります。これはフィリピン人に限らず、すべての外国籍住民に適用される制度ですが、実務上はフィリピン人労働者・留学生・配偶者に関わるケースが比較的よく見られます。
以下では、主な取消事由や手続きの流れ、注意点について解説します。
フィリピン人の在留資格が取消される主な理由
日本に在留するフィリピン人が在留資格取消の対象となる主なケースは次のようなものです。
① 虚偽申請(偽装申請)
a.技術・人文知識・国際業務等の就労資格を得るために入管に虚偽の雇用契約を提出
b.日本人の配偶者ビザ(結婚ビザ)のために「偽装結婚」を行い、日本人の配偶者ビザを申請
c.留学生ビザを取り、アルバイトをするために在学意思がないのに入学手続を行う
上記のような虚偽申請は特に厳しく扱われ、発覚すると速やかに取消されることが多いです。
② 在留資格の活動を行っていない
本来認められている活動をしていない場合も取消対象になります。
a.留学ビザ:学校にほとんど通っていない、長期欠席
b.特定技能や技能実習:職場からの失踪
c.就労ビザ:許可された業務内容と異なる仕事をしている
③ 不法就労や犯罪行為
a.風俗営業等、許可されていない業種でのアルバイトをする
b.刑事罰を受ける犯罪行為
ただし犯罪行為があっても、直ちに在留資格取消ではなく、個別事情が考慮されます。
フィリピン人の 在留資格取消の流れ
一般的には次のステップで進みます。
①入管が調査を開始
書類審査、勤務先への確認、本人への呼び出しなどが行われます。
②意見聴取(ヒアリング)
本人が弁明できる機会が与えられます。
弁護士の同席も可能です。
③取消の決定
取消された場合は、日本に滞在できる期間が指定され、出国準備期間となります。
なお、在留資格取消後の行動によっては退去強制手続に移行する可能性があります。
フィリピン人が在留資格取消を避けるためのポイント
①申請内容に虚偽を含めない正直な申請を心がける
②学校や職場に継続して通う
③就労ビザの範囲内で働き、ルールを守る
④住所変更などはすぐに手続きする
⑤不安がある場合は専門家(行政書士)に相談する
フィリピン人コミュニティでは、ブローカーによる虚偽申請が問題になるケ―スもあるため、信頼できるサポートを利用することが重要です。
フィリピン人の在留資格取消事例
①フィリピン人の技能実習生が職場から逃亡し、工場で働いていた。
②フィリピン人留学生が日本語学校に通うという名目で留学ビザを取得したが、その後学校には行かず、アルバイトばかりしていた。
③フィリピン人女性が虚偽の出生証明書を作成し、パスポートを作成したうえ、日本人の配偶者ビザを取得し、別人の名義で入国した。
この場合、特に問題が多いのが③の事例です。
この場合、偽造を行った本人(フィリピン人女性)が在留資格取消となるのはやむを得ないと思います。
しかし、このようなフィリピン人女性は自分の子供の出生証明書やパスポートを偽造しているケースも多くあります。
この場合、フィリピン人の子供はそのことを知らず、日本で生活していることも多いです。
そして、20年以上の月日が流れ、結婚する段階になり、フィリピンの婚姻具備証明書を発行するために出生証明書や独身証明書(CENOMAR)を請求する段階になって初めて、出生登録が二重登録になっていて出生証明書が発行できないと知らされます。
こうなると、自分が今まで使っていた氏名自体が偽名であったと成人してから知ることとなり、「私って本当は誰?」となってしまい、アイデンティティ自体が揺らぐことになります。また、夫婦間で「3か月後には結婚しようね」という話があっても、正しく出生証明書を直すため、1年以上先に結婚が延期となり、かなりのショックを受けてしまいます。
親がやったことで、何も知らない子供が被害を受けるのは本当に気の毒ですが、上記のようなことが、結構頻繁に起こっています。
まとめ
フィリピン人の在留資格取消は、虚偽申請、活動不履行、不法就労などが中心です。取消になると日本での生活は大きく制限されるため、日頃からルールを守り、適切な形で在留資格を維持することが大切です。
当事務所は、フィリピンのビザ申請について、20年以上の実績がございますので、在留資格取消でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。



