フィリピン人との国際結婚の広まりとともに、フィリピン人の関わる相続案件も増加しております。

このような場合、日本人のケースと同じ資料をそろえるだけでは相続手続きができず、手続きがストップしてしまっているケースが多く見受けられます。

具体的な流れとしては、例えば、以下のようなケースです。

事案の概要

被相続人はフィリピン人夫、相続人は3人(1名は日本在住のフィリピン人の子供、1人は日本在住のフィリピン人妻、あとの1名はフィリピン人の子供でフィリピン在住のケースです)。

遺産相続される財産として、不動産、銀行預金、郵便貯金、生命保険金、自動車などがありました。

当初は自分で手続きを行おうとしていましたが、銀行や保険会社がフィリピン人の相続人が誰なのか、また遺産分割協議書がないとして、払い戻しに応じず、手続きが止まっていました。

また、自宅(土地と建物)についても相続登記は未完了の状態でした。

解決までの流れ

まずは、フィリピン人妻から、必要な手続きの委任を受けました。

フィリピン人の相続人と電話、メール、SNS等で連絡をとり、相続の内容の概要を説明し、パスポートやフィリピンIDの写し等を送付してもらいました。フィリピン人の相続人とは、メール、電話や文書等は全て英語でやりとりをしました。

日本には戸籍がありますが、フィリピンには戸籍がありませんので、銀行の担当者が「相続人が誰なのかわからない。フィリピン法上、他に相続人はいないのか、調査してもらわないと手続きはすすめられない」と言ってきました。

そのため、フィリピンの民法上、相続人の資格がある者の証明書を現地から取り寄せ、翻訳を作成しました。

ただ、戸籍とは異なり、親子関係や婚姻関係にあることは証明できても、他に相続人がいないことは証明できません。

そこで、本件では、他に相続人となる資格がある者がいないことの証明として、フィリピン公証人に証明書を作成してもらいました。

また、フィリピン人の相続人と遺産分割について全員で協議を行い、遺産分割協議書を作成しました。

なお、日本では印鑑証明書がありますが、フィリピンには、印鑑証明書はありません。

そのため、同時にフィリピン公証人にサイン証明書も発行してもらうことにしました。

当然、遺産分割協議書の翻訳とサイン証明書の翻訳も作成しました。

その他、フィリピン民法の根拠条文が欲しいといわれたので、フィリピン民法の条文も提出しました。

時間はかかりましたが、このように、フィリピンの証明書、フィリピン民法条文、上記遺産分割協議書等を等に提出し、保険金等の支払いを受けることができました。

また、不動産の相続登記については、上記の書類等を司法書士に渡し、無事に登記も完了することができました。

 

フィリピン人の相続手続きサポート

上記のように、フィリピン人の相続手続きについては日本人の相続手続きよりも大変ですので、粘り強く行っていく必要があります。

今回は、全員がパスポートを所持していましたし、連絡先もすぐにわかりましたので、割とスムーズに行ったほうかと思います。

実際の事例では、フィリピンの相続人の捜索に時間がかかったり、連絡を取っても回答がなかったり、必要書類が届かなかったりと、なかなかに苦労するのが通常です。

当事務所では、フィリピン人が被相続人や相続人の相続手続きを多数行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。