フィリピンの相続手続きが必要となるのはどのような場合か

近時、フィリピンが関係する相続手続きは増加傾向にあります。

 

フィリピン人が関係する相続手続きは、以下のように主として2通りあります。

①日本の不動産や銀行預金の被相続人(死亡者)がフィリピン人

②日本の不動産や銀行預金の相続人(財産を受け取る人)がフィリピン人

③フィリピンの不動産や銀行預金の被相続人(死亡者)が日本人

②フィリピンの不動産や銀行預金の相続人(財産を受け取る人)が日本人

そして、もしこれが日本人が日本の財産を相続した場合であれば、戸籍謄本を集めて銀行に提出したり、不動産登記を司法書士に依頼したり、ということを普通にやれば、もめていない限り相続の手続きができます。

しかし、フィリピンが絡む場合はそう簡単ではありません。

①②の場合は、フィリピン本国から出生証明書や結婚証明書の取り寄せが必要となります。

もっと大変なのが③④のケースです。

以前は少なかったのですが、近時、退職後にフィリピンにロングステイをしたり、フィリピンで駐在員をする日本人が増えています。

そして、彼らはフィリピンで投資をしたり、銀行に預金したり、不動産(コンドミニアム等)を購入してフィリピンで生活しています。

それに伴い、フィリピンで死亡し、相続手続きが発生する事例も少なくありません。

このような場合、フィリピンで定められた手続きに従って相続しないといけませんので、非常に苦労します。

 

 

フィリピンの相続手続きの特徴

 

フィリピンの相続手続きの特徴としては、欧米の相続手続きと同じく、相続手続きに裁判所の関与が必要となることがあげられます。銀行や法務局などで、自分で手続き可能な日本とはこのあたり大きく違っています。

具体的なフィリピンの相続手続きについては、まず、フィリピンの裁判所にはフィリピン国内の不動産や銀行預金、投資商品等に関する相続手続についての管轄権がありますので、フィリピン国内の不動産や銀行預金、投資商品等に関する相続手続については、フィリピンの裁判所を通じて処理することになります。

そして、フィリピンの相続手続きにおいて重要な意味をもつのが「遺言」です。日本ではまださほど遺言をする習慣はありませんが、フィリピンや他の欧米諸国では遺言や生前信託などを行うのが一般的です。

この遺言があれば、手続きはやや簡略化されますが、遺言がない場合は一般に費用、時間がかなりかかってしまうことになりますので、フィリピン生活者は遺言を残すことを考えておく必要があります。

そして、遺言については、例えばフィリピン在住の日本人がフィリピンで遺言を作成する場合、フィリピン法または日本法に則った遺言を作成すれば、フィリピン国内にある銀行預金や不動産については遺言の内容に従った相続がなされます。

他方、遺言がなかった場合には、フィリピンの不動産や銀行預金については、被相続人の国籍の法律に照らして遺産の分配がなされることになります。

つまり、死亡したのが日本人の場合、日本法に従い遺産の分配が行われます。

もっとも、実際のフィリピンの銀行預金や不動産の相続手続についてはフィリピン法に従って行われる必要があります。

そして、遺産分割協議ができる場合には相続人の間で成立した遺産分割協議の内容に従って遺産の分配がなされます。

しかしながら、遺産分割協議ができない、もしくはできても協議内容がまとまらない場合には裁判所による遺産管理手続が行われ、裁判所により選任された遺産管理人が日本の法律に従って遺産の分配を行うこととなります。

 

 

フィリピンの銀行預金の相続手続きの必要書類等

 

では、フィリピンでの銀行預金の相続手続きの必要書類はどのようなものなのでしょうか。

一般には、以下のような書類が必要ですが、この書類をそろえればすぐに手続きができるわけではないところがフィリピンという国です。

また、相続センターがある日本の銀行担当者や登記の手続きを熟知している日本の法務局担当者とフィリピンの相続手続きの担当者はレベルが違います。

ですから、実際は、日本の銀行預金の相続手続きの10倍以上の手間と時間がかかるものと考えたほうがいいと思います。

 
1.必要書類

 
(1) 被相続人の死亡証明書・除籍謄本

→これについては、原本の英訳と在日フィリピン大使館による公証が必要です。さらに、相続人については法定相続人であることを証明する戸籍謄本も必要で、被相続人の死亡証明書や除籍謄本と同様、英訳と公証が必要です。
(2) 遺産分割協議書 (Extrajudicial agreement)

→これについても、英訳と在日フィリピン大使館による公証が必要です。
(3) フィリピンでの新聞広告を行ったことの証明書

→この手続きは相続財産に対する他の権利者がいるかどうかを確認するためのもので、フィリピン特有の手続きといえるかもしれません。この新聞広告は1日出すだけではだめで、3週連続で掲載しなければなりません。例えば毎週火曜日曜に3週連続で掲載する等の方法で行います。

 

 

 

(4) フィリピン国税庁の発行する納税証明書
→フィリピンの相続手続きについては、相続財産の金額を確定し、フィリピン国税庁に届出を行なう必要があります。この手続きは、銀行預金の払戻手続きの前に行なう必要があります。納税証明書の発行手続きを行うには、上記(3)の新聞広告を行ない、当該広告が終了したことの証明書が必要です。そして、相続税額を確定してもらった後、相続税を支払って受領する証明書を取得する必要があります。

 

(5)委任状(POWER OF ATTORNEY)

→現実的に、相続人全員がフィリピンを訪問することは難しいケースがほとんどです。そのため、相続人が複数あり、代表者が訪比する場合は、他の相続人の委任状が必要になります。そして、この委任状も遺産分割協議書や戸籍謄本等と同様に英訳、公証が必要となります。

 

※実際の手続きでは上記の書類だけでは足りず、他にも様々な書類を要求されます。

 

2.フィリピンの銀行預金の相続手続の流れ

 
(1) 上記の必要書類を揃える

(2)現地支店の窓口で被相続人の預金の払戻し手続きを行う
→注意しないといけないのは、当該資金をそのまま持ち帰ることはできない、ということです。「ええ?そんな馬鹿な!と思うかもしれませんが、事実です。

新聞広告を行なったとしても、フィリピンの相続人が現れるかもしれないので、さらに2年間、払い戻した預金と同額の金額を担保のような形で銀行に2年間預け、他の権利者が現れないことを確認しなければなりません。これはつまり、新聞広告を行なった上、さらに2年間待たなければならない、ということです。

これは非常に重い負担ですね。

そして、2年間の間に、他の権利者が現れなかったときに、相続人は銀行預金の払い戻しを受けられます。

ただこれだと、すぐに資金需要のある相続人等にとってあまりに酷なケースもあります。

そこで、この手続きを省略したい場合は、別の方法をとることもできます。

具体的には、保証証券保険の会社があり、保険料を支払って銀行に保証をいれてもらい、預金を引き出す方法です。

本件では、通常、保険料は預金残高の10%程度が多いです。(保証証券/Surety Bondといいます)

 

(3)日本への送金
日本への送金の方法としては、3つの方法があります 。

①現金でフィリピンで引き出して日本に持ち帰る方法

②日本のフィリピン銀行の支店に送金

③日本の銀行口座に送金

 

①の方法は手軽ですが、やはり途中でなくなるリスクもありますので、おすすめできません。

②の方法はフィリピンでフィリピンペソから円に両替しフィリピン銀行の日本支店に送金します。この場合、日本の自分の銀行口座に送金するより手数料は安いですが、店頭に現金を受け取りに行かないといけないので、そこは手間かもしれません。

③自分の日本の銀行の口座に振り込んだ場合、手数料が少し高くなりますが、確実に受取人様の口座に入金されますので、可能な限りこの方法をとった方がいいのではないでしょうか。

 

 

当事務所のサービス費用

 

当事務所では、フィリピンの相続手続きでお困りの方のためのサポートを行っております。

フィリピンの相続手続きでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

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